GTM4WPはWordPressとGoogleタグマネージャーを連携するプラグイン
GTM4WPとは
「GTM4WP」とは、WordPress(ワードプレス)とGoogleタグマネージャー(GTM)を連携させるための、非常に人気のあるWordPressプラグインです。正式名称は「Google Tag Manager for WordPress」といいます。
GTM4WPの主な機能とメリット
- GTMコンテナコードの簡単な設置: GTMを利用するためには、サイトのHTMLコードにGTMのコンテナコードを設置する必要があります。通常はテーマファイルを編集してコードを挿入しますが、GTM4WPを使えばプラグインの設定画面でGTMのIDを入力するだけで、適切な場所にコンテナコードを自動的に挿入してくれます。これにより、HTMLコードを直接編集する手間とリスクを減らすことができます。
- データレイヤーの強化: GTMは「データレイヤー」という仕組みを使ってウェブサイトの情報を取得し、タグに渡します。GTM4WPは、WordPressの豊富な情報を自動的にデータレイヤーにプッシュしてくれます。これにより、以下のような情報をGTMで簡単に利用できるようになります。
- 投稿/固定ページのタイトル
- 投稿/固定ページのカテゴリ名
- 投稿/固定ページのタグ
- 投稿/固定ページの作成日
- ログイン状態
- WooCommerce(ECサイトプラグイン)のEコマースデータ(商品情報、購入情報など)
- ユーザーの役割(管理者、編集者など)
- (ベータ機能として)気象データなど
- イベントトラッキングの容易化: WordPressサイトでの特定の操作(例: 記事の閲覧、コメント送信、フォーム送信、WooCommerceでの購入完了など)をGTMのイベントとして簡単に計測できるようになります。これにより、Googleアナリティクス4(GA4)などで詳細なユーザー行動を分析しやすくなります。
- 複数コンテナのサポート: 複数のGTMコンテナを管理したい場合にも対応しています。
- 互換性モード: 一部のWordPressテーマやビルダー(Genesisテーマ、GeneratePress、Elementor、Oxygen Builder、Beaver Builderなど)との互換性も考慮されており、GTMコードの配置を最適化するオプションも用意されています。
GTM4WPを使うべき理由
- HTMLの知識がなくてもGTMを導入できる: プログラミング知識がない方でも、GTMの導入と基本的なデータ収集設定が行えます。
- 効率的なデータ収集: WordPressの豊富な情報をデータレイヤーに自動的にプッシュしてくれるため、手動でデータレイヤーを設定する手間を省き、効率的に分析に必要なデータを収集できます。
- マーケティング施策の強化: 詳細なユーザー行動データを活用することで、より精度の高いマーケティング施策を展開しやすくなります。
- 無料: 無料で利用できる高機能なプラグインです。
ただし、GTM4WPを導入するだけでGTMの全ての機能が使えるわけではありません。GTM自体の設定(タグ、トリガー、変数)に関する知識は必要です。しかし、GTMとWordPressを連携させる上での最初のハードルを大きく下げてくれる非常に有用なプラグインと言えます。
※最新の情報を公式ページで確認ください
GTM4WPの使い方
GTM4WP(Google Tag Manager for WordPress)は、WordPressサイトにGoogleタグマネージャー(GTM)を簡単に導入し、設定を管理するためのプラグインです。このプラグインを使うことで、GTMのスニペットを手動でテーマファイルに挿入する手間を省き、イベントトラッキングやカスタムディメンションなどの設定をWordPressの管理画面から行うことができます。
以下にGTM4WPの基本的な使い方を説明します。
1. GTM4WPのインストールと有効化
- WordPress管理画面にログインします。
- 左メニューの「プラグイン」から「新規追加」をクリックします。
- 検索窓に「GTM4WP」と入力し、検索します。
- 「Google Tag Manager for WordPress」プラグインを見つけ、「今すぐインストール」をクリックします。
- インストールが完了したら、「有効化」をクリックします。
2. GoogleタグマネージャーのコンテナIDを設定する
GTM4WPを有効化したら、次にGoogleタグマネージャーのコンテナIDを設定します。
- 左メニューの「設定」から「Google Tag Manager」をクリックします。
- 「Google Tag Manager ID」の項目に、あなたのGoogleタグマネージャーのコンテナID(例:
GTM-XXXXXXX
)を入力します。- コンテナIDは、Googleタグマネージャーの管理画面で確認できます。通常、ワークスペース名のすぐ下や、管理画面の右上にある歯車アイコンから「コンテナの設定」で確認できます。
- 「変更を保存」をクリックします。
これにより、GTMのスニペットが自動的にWordPressサイトの各ページに挿入されます。
基本的な機能と設定
GTM4WPは、単にGTMのスニペットを挿入するだけでなく、様々なデータレイヤー変数を提供し、WordPressのデータ(投稿情報、ユーザー情報など)をGTMで利用できるようにします。
1. General Settings(一般設定)
- Container code placement: GTMコードの挿入位置を設定します。デフォルトは「Foot (recommended)」で問題ありませんが、サイトの表示速度や他のプラグインとの兼ね合いで調整することも可能です。
2. Integration(連携)
このセクションでは、WooCommerceなど他のプラグインとの連携設定ができます。
- WooCommerce: WooCommerceを使用している場合、このオプションを有効にすることで、商品データ、カート情報、購入データなどを自動的にデータレイヤーにプッシュできます。これにより、拡張Eコマース計測などが容易になります。
3. Events(イベント)
WordPressの特定のアクション(例: 検索、コメント、ログインなど)をデータレイヤーイベントとしてGTMにプッシュすることができます。
- Track searches: サイト内検索が行われた際にイベントをプッシュします。
- Track comments: コメントが投稿された際にイベントをプッシュします。
- Track logins: ユーザーがログインした際にイベントをプッシュします。
- Track new users: 新しいユーザーが登録された際にイベントをプッシュします。
これらのイベントは、GTM側でトリガーとして設定し、対応するタグ(例: Google Analyticsイベントタグ)を発火させることで、詳細なユーザー行動を分析できます。
4. Data layer(データレイヤー)
GTM4WPは、WordPressの様々な情報をデータレイヤー変数として利用できるようにします。
- Post type: ページの投稿タイプ(例:
post
,page
,product
など)。 - Post ID: 投稿のID。
- Post author: 投稿の著者名。
- Category: 投稿のカテゴリ。
- Tags: 投稿のタグ。
- Logged in user info: ログイン中のユーザー情報(ユーザーID、ロールなど)。
- Search term: 検索キーワード。
これらの変数は、GTMでカスタム変数として設定し、タグやトリガーの条件として利用できます。例えば、特定のカテゴリの投稿ページでのみ特定のタグを発火させるといった設定が可能です。
Googleタグマネージャーでの設定例
GTM4WPでデータレイヤーにプッシュされた情報をGTMで活用する例をいくつか紹介します。
例1: サイト内検索イベントの計測
- GTM4WPで「Track searches」を有効化します。
- Googleタグマネージャーの管理画面を開きます。
- 変数を設定します。
- データレイヤー変数として「
gtm4wp_search_term
」を作成します。これはGTM4WPが検索キーワードをプッシュする際に使用するデータレイヤーキーです。
- データレイヤー変数として「
- トリガーを設定します。
- トリガータイプを「カスタムイベント」とし、イベント名を「
gtm4wp.search
」と設定します。これはGTM4WPが検索時にプッシュするカスタムイベント名です。
- トリガータイプを「カスタムイベント」とし、イベント名を「
- タグを設定します。
- タグタイプを「Google Analytics: GA4イベント」または「ユニバーサルアナリティクス」に設定します。
- イベント名(GA4の場合)やカテゴリ/アクション/ラベル(ユニバーサルアナリティクスの場合)に、先ほど作成したデータレイヤー変数
{{gtm4wp_search_term}}
を使用します。 - このタグに、先ほど作成したカスタムイベントトリガーを関連付けます。
例2: 記事のカテゴリ別にGAイベントを送信する
- GTM4WPのデータレイヤー設定で「Category」が有効になっていることを確認します。
- Googleタグマネージャーの管理画面を開きます。
- 変数を設定します。
- データレイヤー変数として「
gtm4wp_category
」を作成します。これはGTM4WPがカテゴリ情報をプッシュする際に使用するデータレイヤーキーです。
- データレイヤー変数として「
- トリガーを設定します。
- トリガータイプを「ページビュー」とし、「一部のページビュー」を選択します。
- 条件を「
gtm4wp_category
」が「特定のカテゴリ名
」と一致する場合、などと設定します。
- タグを設定します。
- タグタイプを「Google Analytics: GA4イベント」または「ユニバーサルアナリティクス」に設定します。
- イベント名やカテゴリ/アクション/ラベルに、
{{Page Path}}
や{{gtm4wp_category}}
などの変数を組み合わせて設定します。 - このタグに、先ほど作成したカテゴリ別のページビュートリガーを関連付けます。
デバッグと確認
設定が正しく機能しているかを確認するには、Googleタグマネージャーの「プレビューモード」を使用します。
- Googleタグマネージャーのワークスペースで「プレビュー」をクリックします。
- WordPressサイトのURLを入力し、「Connect」をクリックします。
- サイトが新しいタブで開かれ、Tag Assistantが起動します。
- サイト上で様々なアクション(ページの閲覧、検索、コメント投稿など)を行い、Tag Assistantでデータレイヤーにどのような情報がプッシュされているか、タグが正しく発火しているかを確認します。
GTM4WPを使うことで、WordPressサイトにおけるGTMの実装とデータ取得が格段に容易になります。提供されるデータレイヤー変数とイベントを理解し、GTM側で適切に設定することで、より高度なトラッキングと分析が可能になります。
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GTM4WPの注意点
WordPressプラグイン GTM4WP (Google Tag Manager for WordPress) は、Google タグマネージャー (GTM) をWordPressサイトに簡単に導入できる非常に便利なツールですが、いくつかの注意点があります。
1. GTMコンテナのID設定の正確性
GTM4WPプラグインを導入したら、まず GTMコンテナのIDを正確に設定する ことが最も重要です。IDの入力ミスがあると、GTMが正しく動作せず、タグの発火やデータ収集ができません。
2. データレイヤーの理解と活用
GTM4WPは、WordPressの様々な情報を自動的に データレイヤー にプッシュします。これには、投稿の種類、カテゴリー、タグ、ユーザー情報などが含まれます。これらのデータレイヤー変数を活用することで、より詳細なトラッキングや特定の条件に基づいたタグの発火が可能になります。しかし、データレイヤーの仕組みを理解していないと、その恩恵を十分に受けられない可能性があります。
3. 既存のGTMコードとの重複に注意
もしすでにテーマファイルなどにGTMのコードが手動で埋め込まれている場合、GTM4WPプラグインと併用すると コードが重複してしまいます。これにより、タグの二重発火やデータ収集の不正確さなど、予期せぬ問題が発生する可能性があります。GTM4WPを導入する際は、既存のGTMコードを削除するようにしましょう。
4. キャッシュプラグインとの互換性
WordPressサイトでは、パフォーマンス向上のために キャッシュプラグイン を利用することがよくあります。GTM4WPは通常、キャッシュプラグインと問題なく動作しますが、設定によってはGTMのコードが最新の状態に更新されず、タグの発火が遅れたり、正しく動作しない場合があります。GTMの変更を反映させたい場合は、キャッシュをクリアすることを忘れないようにしましょう。
5. カスタムデータレイヤーの追加と管理
GTM4WPが自動的に提供しない情報(例:ECサイトの購入情報や特定のフォーム入力値など)をデータレイヤーに追加したい場合は、カスタムコードを記述する 必要があります。テーマの functions.php
や子テーマ、または別のコードスニペットプラグインなどを利用して、wp_footer
アクションフックなどにJavaScriptコードを追加することになります。この際、既存のデータレイヤーを上書きしないように注意が必要です。
6. プラグインの更新と互換性
WordPress本体、テーマ、他のプラグインと同様に、GTM4WPも定期的に更新されます。更新によって新機能が追加されたり、バグが修正されたりしますが、ごく稀に他のプラグインやテーマとの 互換性の問題が発生する 可能性もあります。更新前にはバックアップを取るなど、慎重に進めることをお勧めします。
7. デバッグモードの活用
GTM4WPは、GTMの プレビューモード と非常に相性が良いです。タグが正しく発火しない場合や、データレイヤーが期待通りに動作しない場合は、GTMのプレビューモードとGTM4WPのデバッグ情報を活用して、問題の原因を特定しましょう。
これらの注意点を理解し、適切にGTM4WPを設定・運用することで、WordPressサイトでのGoogleタグマネージャーの活用がよりスムーズかつ効果的になります。